T 薬とサプリメントの違い
薬は薬事法で承認を受けた“医薬品”、サプリメントは“食品”
薬(医薬品)は、病気や症状に直接作用し、病原菌を殺したり、熱や血圧を下げたり、炎症を抑えるといった、主に対症療法に用います。
薬は基本的に病気が発症してから、治療の役割をします。
サプリメント(Supplement)は日本語で「栄養補助食品」「健康補助食品」と言いますが、直訳すると“追加”“補充”を意味します。
つまり、日常の食生活で不足する栄養素を補い、病気になりにくい体をつくり、健康を維持・増進する役割をします。
具体的には体の調整機能を整えたり、代謝を活発にし代謝システムをスムーズにしたり、血液の循環をよくしたり、体がもともと持っている生体恒常性(ホメオスターシス)、免疫力、自然治癒力をサポートするよう働きます。
U 成人病・生活習慣病の予防をサポートするサプリメント
日本人は摂取カロリーに比べて、微量栄養素が不足している
戦後からの食生活の欧米化、加工食品、レトルト・インスタント食品、外食、ファーストフードの普及などにより、カロリー源となる糖質(炭水化物)、脂質、たんぱく質は十分に摂取できていますが、それらを代謝し、エネルギーに変換したり、新しい細胞を作るために必要な補酵素の働きをするビタミン、ミネラル類などの微量栄養素は相対的に不足しています。
それらが不足し続けると、充分な代謝がおこなわれず、余ったカロリーが脂肪となって体内に蓄積され肥満の原因となります。
肥満は、高血圧、高脂血症、糖尿病、虚血性心疾患、脳卒中などの成人病・生活習慣病の原因となります。
栄養学や生化学の進歩で、微量栄養素の重要性が認識されてきた
近年の栄養学、生化学、分子矯正医学等の発達によって、ビタミン・ミネラル類やファイトニュートリションと総称されるポリフェノールやフラボノイド類などの植物栄養素の、薬理作用や活性酸素(フリーラジカル)の人体への攻撃を抑える抗酸化作用などが科学的に証明され、これらの微量栄養素が健康維持に必要だとの認識が広がりました。
微量栄養素の摂取源である食物の栄養価が落ちている
現在は昔に比べると、野菜や果物から微量栄養素を充分に摂取することが難しくなっているのが現実です。
その理由は、作物の生産を合理化し、短い期間で多くの収穫を上げるために、化学肥料や農薬を大量に使用したり、季節や旬を無視したハウスによる促成栽培が普及したためと考えられます。
また、果物などは流通経路を考えて、熟しきる前の青い状態で収穫されることが多いですが、これでは栄養価も未熟なままです。
植物に含まれるビタミンや植物栄養素は、植物自身が日光の紫外線など厳しい自然条件から身を守るために作り出したものです。
ですから、より自然に近い条件で、太陽の光を十分に浴びてゆっくり育った野菜や果物には、ビタミン・ミネラル類がたっぷり含まれているのです。
現在私たちが普段食べている野菜・果物はどうでしょうか。
また、収穫してから食卓に載るまでの時間の経過や加熱、調理などによっても、栄養価は減少してしまいます。
レトルト・加工食品などは、体に有効な栄養素がほとんど消失してしまっているでしょう。
植物だけでなく、畜産物、海産物なども、抗生物質や成長ホルモン剤の使用や、環境汚染、水質汚染の影響によって、昔に比べて安全とは言い切れない状況になっています。
現代は心身の健康維持のためにより多くの微量栄養素が必要
現在の特に都市生活者は、健康にとって有害な環境の中で暮らしていると言えます。
自動車やディーゼルの排気ガスや煤煙などにより、大気や水質などが汚染された自然環境や、効率や競争に急き立てられ、ゆとりを無くしたストレスに満ちた社会などです。
また、加工食品や食品添加物が多量に含まれた食生活も、少しずつ健康を蝕む要因となります。
また、地球規模でも二酸化炭素の増加による地球温暖化や、オゾン層の破壊による紫外線の増加などの環境破壊が進んでいます。
私たちは、体内に入った有害物質や食品添加物などを代謝・解毒するために、細胞や脂質を活性酸素に攻撃されるのを防ぐために、ビタミン・ミネラルを使っています。
例えば、煙草の煙には多くの発癌物質やフリーラジカルが含まれていて、煙草を一本吸うごとに体内から100mg近くのビタミンCが消失します。
体内に入る有害物質が多ければ多いほど、より多くの微量栄養素が必要になります。
また、人間はストレスを感じると、脳からの指令によりストレスから体を防御するために、コルチゾールなどの抗ストレスホルモンが作られますが、その際に大量のビタミンが消費されます。
つまり、ストレスに強い体を作るためには、大量のビタミン類を日常的に摂り続けなければなりません。
このように、現代において健康に生きるということは、思った以上にビタミン・ミネラル・植物栄養素等の摂取が必要とされるのです。
普段の食生活でこれらを充分にまかなうことは可能でしょうか。
V サプリメントの選び方と摂取方法
基本はマルチビタミン・ミネラル剤
成人病・生活習慣病を予防するために、サプリメントを活用しようと考えている人に、まずお奨めしたいのがマルチビタミン・ミネラル剤です。
これには大抵、10種類以上のビタミン類と、7〜8種類以上のミネラルが含まれています。
これらの成分が、体の代謝をスムーズにし血液の循環をよくするのを助けてくれます。
また活性酸素の攻撃からもある程度守ってくれます。
十分なビタミン・ミネラル類は、あらゆる成人病・生活習慣病の予防・対策にとって必要です。
健康な人でも中高年以上になると、体内の抗酸化酵素が若い頃に比べて減少し、免疫力が落ちていきます。
ビタミン・ミネラル類には、体内の酵素の働きを活発にしたり減少を抑える役割もあります。
これらの成分を食事で充分に摂ることがむずかしい以上、できるだけ天然の素材で作られたマルチビタミン・ミネラル剤は、現代人の健康をサポートする強力な助っ人と言えそうです。
マルチビタミン・ミネラル剤は、サプリメントのベースとなり毎日摂るべきものです。
基礎がしっかりしていなければ、その上にいくら立派な建物を建てても長持ちしないように、マスコミなどで喧伝されるはやりのサプリメントをいくら摂っても、基本的な必須栄養素が不足していては、その効果が長く続くことはないでしょう。
マルチビタミンだけでなく、マルチミネラルが含まれているものを必ず選んでください。
ミネラルはビタミンや酵素の働きを助けます。
逆にミネラルがなければ、ビタミンや酵素は満足にその役割を果たすことができないからです。
心配な病気や症状によって他のサプリメントを追加する
マルチビタミン・ミネラル剤で基本的な微量栄養素を補給したら、次に、心配されるそれぞれの病気や症状によって、他の成分を補えばいいと思います。
ただし、予防のためでしたら、薬理作用の強いハーブ類よりは、日常的な食事からでも取れる栄養素、例えばビタミンBコンプレックスや、ビタミンE、マルチカロテノイド、DHA・EPA(青魚に含まれる脂肪酸)、食物繊維、乳酸菌などから試してみることをお勧めします。
食事と一緒に摂ること
一概には言えませんが、ほとんどのサプリメントは食事中か食後すぐに摂ることを勧めます。
ビタミンには水溶性のものと脂溶性のものがあり、脂溶性にものは油と一緒に摂らなければ吸収されません。
ミネラル類は元来非常に吸収されにくいものですが、たんぱく質などの食べ物と一緒に摂ることで吸収率は上がります。
また、他の食物と一緒に摂ることで、徐々に消化・吸収されるこによって、体内に長くこれらの成分が留まることができます。
逆に言うと、きちんと食事を取らずにサプリメント類だけをとっても、あまり吸収されませんし、ほとんど意味がありません。
サプリメントはあくまで栄養素を“追加”“補充”するものだということを忘れないようにしましょう。
もちろん、成分によっては食間に摂ったほうがいいものなど例外がありますので、サプリメントのラベルの説明をきちんと確認して、指示通りに摂るようにしましょう。