PET検査-がん早期発見の切り札
【PET検査とは】
近年がんの診断においてPET検査が注目されています。
PET検査とは、日本語ではポジトロン断層撮影法と呼ばれ、レントゲンやCT、MRIのように、撮影された画像でがんなどの病巣や病状を診断する方法です。
CT(コンピュータ断層撮影法)など従来の検査方法が、がん(腫瘍)の形や大きさなど、病巣の形態を調べるのに対し、PET検査では、がん細胞の活動性など、病巣の性質を調べるという特徴があります。
PET検査の原理は、がん細胞などが通常の細胞に比べて、エネルギー源であるブドウ糖を3〜8倍も多く消費する性質を利用しています。
ブドウ糖と同じ性質を持ち、ポジトロン(陽電子)を放出する薬剤(FDGと呼びます)を静脈注射すると、薬剤は全身をめぐってがん細胞などの病巣があればそこに集まります。
ポジトロン(陽電子)と負の電荷を持つ普通の電子が衝突した瞬間にガンマ線が放出されますが、薬剤(FDG)が多く取り込まれたがん細胞は、通常組織よりも強くガンマ線を放出します。
それをPETカメラで撮影し、データを収集分析するのかPET検査です。
つまりPET検査では、薬剤を体内に注入し、薬剤から放出されるガンマ線を体外から撮影して、薬剤の体内分布を映像化し、それを分析することによってがんなどを検査します。
PET検査自体は簡単なものです。
薬剤を静脈注射してから1時間ほど薬剤が全身にめぐるのを待ちます。
その後はPETカメラのベッドに寝ているだけです。
撮影時間は30〜60分程度なので、注射してから2時間くらいで終わります。撮影は着衣のままでも可能です。
【PET検査のメリット】
PET検査は、がん(悪性腫瘍)の大きさ・性質(悪性度)の診断や、転移の有無などを診断することができます。
他にも以下のような診断が可能です。
1.腫瘍の良性・悪性の判別
2.がん再発の有無
3.放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)などがん治療の効果測定
4.全身病変(悪性リンパ腫など)
5.脳血管障害、アルツハイマー型認知症、てんかんの病巣など脳疾患
がんは離れた臓器に転移したり、完治したと思ってもまた再発する場合があります。
PET検査は一度で全身を検査できるというメリットがあるので、予期せぬところに生じた転移や再発を早期に発見できる検査として期待されています。
【PET検査の弱点】
PET検査はがんの診療にとって革新的な診断法ですが、完璧ではなく弱点もいくつかあります。
1. 空間分解能(解像度)が良くない、つまり病巣の場所がはっきりしないので、異常が見つかった場合はCTやMRIなど解像度が優れている検査を再度する必要があります。
また、現時点では大きさが数mm程度の小さな腫瘍を全て検出するのは難しいと言われています。
2. 薬剤(FDG)は、がん細胞だけでなく炎症巣にも集積するので、例えば肺炎などにかかっていると、がんとの区別が難しい場合があります。
3. PETだけでは診断が難しい、有用性が低いがんがあります。
例えば胃がん、腎臓がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、肝細胞がん、胆道がん、白血病などです。
ただし、これらのがんは原発巣の診断に向かないということで、遠隔転移や再発診断にはPETが有効な場合があります。