【腹圧性尿失禁の原因】
腹圧性尿失禁は女性に特に多くみられる尿失禁です。
それは、女性の体の構造に理由があります。
男性の尿道が約25cmもあるのに対し、女性の尿道は4cmしかありません。
さらに尿道を閉める役割を持つ尿道括約筋が男性に比べて弱いのです。
さらに、女性には骨盤底筋群といって泌尿器をはじめ、膣や子宮、直腸などをハンモック状に吊り上げている大切な筋肉がありますが、女性の陰部は、尿道口や膣口も含めて男性のそれと比べると“開く”構造になっているため、どうしても筋肉をひき締める力は弱くります。
そして、いったん筋肉が緩むと、膀胱や尿道は、お尻のほうへ下がりぎみになり、その結果、尿道の閉まりが悪くなり、尿がもれやすくなります。
骨盤底筋群は、特にお産や肥満によって、また、加齢とともに緩む傾向があります。
ですから、腹圧性尿失禁は、病気というよりも、起こりやすい体質に加えて、妊娠・出産や老化などといった要因が加わって起こると言えます。
その他に婦人病や便秘や冷え性なども、腹圧性失禁の間接的原因となります。
【切迫性尿失禁の原因】
切迫性尿失禁の原因は大きく分けて3つあります。
1.神経障害
脳や脊髄などの神経回路がダメージを受けると、膀胱を抑制する神経系が機能しなくなり起こります。
ダメージを受ける原因としては、脳卒中、脳の外傷、脳腫瘍、アルツハイマー病や、脊髄損傷、頚椎症、変形性腰椎症、脊髄炎、多発性硬化症、パーキンソン病、シャイ・ドレーガー症候群などがあります。
2.不安定膀胱(過活動膀胱)
不安定膀胱(過活動膀胱)とは、簡単に言うと自分の意志に反して勝手に膀胱が収縮してしまう状態です。
切迫性尿失禁の原因としては高齢者に一番多いタイプですが、そのメカニズムはよくわかっていません。
3.知覚神経過敏
泌尿器に炎症をおこす病気(膀胱炎、膀胱がん、膀胱結石、尿道結石など)により、膀胱や尿道などに炎症がおき、知覚神経が過敏になって、尿漏れを起こします。
女性に多くみられるのが特徴です。
【溢流性尿失禁の原因】
溢隆盛尿失禁は、排尿障害により尿が出にくくなり、尿が膀胱にたまって溢れてしまうのが原因です。
排尿障害を引き起こす要因には、前立腺肥大症、前立腺がん、尿道狭窄、糖尿病(神経因性膀胱)などの病気があります。
また、便秘で直腸に便がたまると、膀胱頸部や尿道が圧迫されて溢流性尿失禁になることがあります。
さらに、抗コリン薬やオピオイドなどある種の薬物は、膀胱の収縮を妨げ溢流性尿失禁を引き起こす場合があります。
【老化と排尿コントロールの低下】
加齢が進むと、排尿をコントロールする能力が低下していきます。
まず、膀胱にためておける尿の最大量(膀胱容量)が低下します。
尿道括約筋の筋力が衰えることにより、尿意を感じてから排尿をこらえる力も年齢に伴って低下します。
さらに、尿が膀胱から流れ出て尿道を通過するスピードが遅くなり、排尿後に膀胱に残る尿量(残尿量)も、加齢とともに多くなります。
したがって、老化が進むと生理的に尿失禁になりやすくなります。
女性の場合は、更年期に入ってエストロゲン濃度が低下すると、尿道が短くなり内壁が薄くなったり、尿道括約筋の力が極端に落ち尿道がぴったり閉じないようになったりするので、男性よりも尿失禁になりやすいと言えます。