腎盂腎炎は細菌による感染症ですが、もともと健康な人の膀胱、尿管、腎盂には細菌は存在しません。
それがなんらかの原因で細菌が侵入して炎症を起こすのです。
細菌の侵入経路によって、大きく3つの感染タイプに分けることができます。
1.上行性感染
細菌が外部から尿道、膀胱、尿管を遡ることによる感染で、最も多いタイプです。
2.リンパ行性感染
尿道から膀胱、尿管、腎盂の周囲にあるリンパ腺から感染します。
3.血行性感染
血液の流れを通じた感染です。
腎盂腎炎の原因となる細菌は、主に大腸菌、緑膿菌などグラム陰性桿菌と腸球菌です。
なかでも大腸菌による感染が多く、腎盂腎炎の約90%を引き起こしています。
感染は通常、外陰部から尿道を経て膀胱へ広がり、さらに尿管を遡って腎臓に至ります。
腎盂腎炎の患者は圧倒的に女性が多く、20〜40歳代では男女比は1対30と言われていれます。
女性に多い理由としては、女性は男性より尿道が短い(男性20cm、女性3〜4cm)ことと、尿道口と肛門が接近しているために、上行性感染による細菌感染が起こりやすためです。
膀胱炎も女性に多い疾患ですが、腎盂腎炎の患者の約3割が膀胱炎を併発しています。
また、尿の流れが悪くなると細菌が逆行して感染しやすくなりますが、とくに高年齢になると男性に前立腺肥大症が増え、それが原因で腎盂腎炎を起こす人も増え、50歳以後の男女比はやや小さくなります。
健康な人の尿路では、尿の流れが微生物を洗い流し、さらに尿管が膀胱の入り口部分で閉じることで感染が腎臓におよぶのを防いでいます。
しかし、構造上の異常、腎臓結石、前立腺肥大症など尿の流れを妨げる物理的な要因があったり、膀胱から尿管に尿が逆流したり(膀胱尿管逆流現象)すると、特に慢性腎盂腎炎のリスクが高くなります。
前立腺肥大症によって腎盂腎炎が起こりやすい理由は、前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むような形で存在していますが、そのため前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、尿の流れが悪くなって細菌に感染しやすくなるからです。
さらに、腎盂腎炎を引き起こしやすい原因(病気)には、尿道炎、尿路結石、糖尿病、痛風、妊娠などがあります。
まれに、結核や真菌感染症によって腎盂腎炎が起こることがあります。