痔の最大の原因は、便通の異常です。
便秘になると、硬い便を無理に押し出すために肛門に大きな負担がかかります。
また、下痢が続くと便の中の細菌が肛門に侵入して感染を起こしやすくなります。
妊娠や出産も痔の大きな原因です。
お腹が大きくなったり、出産時にいきむことで肛門に負担がかかるためで、妊娠や出産をきっかけに痔を発症する人も少なくありません。
この他、冷えや同一姿勢を続けることも、肛門のうっ血を招き、痔の原因になります。
痔は先天的な体質も関係しますが、このように毎日の生活習慣が大きく影響するわけで、生活習慣病の一つといえます。
【イボ痔(痔核)】
便秘でいきむなどして肛門に負担がかかると、肛門のクッション部分がうっ血し、だんだん大きくなって、いぼのように膨らんできます。
直腸部分にできる内痔核と、肛門部分にできる外痔核とがありますが、通常、痔核というと内痔核を指します。
1)内痔核
痛みはありませんが、排便時に突然出血したり、大きくなった部分が肛門の外に飛び出たりします(脱肛)。
初めは自然に肛門内に戻りますが、ひどくなると指で押し込んでも戻らなくなります。
内痔核が脱肛まで進行すると外痔核を伴うことが多くなり、内外痔核といいます。
2)外痔核
痛みを伴い、血栓性外痔核(肛門の周囲に血栓=血の塊ができる)や嵌頓(かんとん)痔核(内外痔核に血栓が多数でき、脱肛したまま腫れて戻らなくなる)になると激痛に襲われます。
【切れ痔(裂肛)】
硬い便でこすられることによって、肛門上皮が切れたり裂けたりするものです。
出血量は少ないですが、排便時だけでなく、排便後もしばらくジーンとした痛みが続きます。
一度傷ができると治りにくく、傷が深くなると肛門潰瘍(かいよう)に進行します。
同時に肛門が狭くなる肛門狭窄(きょうさく)が起こり、鉛筆のような細い便しか出なくなります。こうなると手術が必要になります。
【穴痔(痔瘻)】
水様性の下痢などをすると、便の中の細菌が歯状線にあるくぼみから侵入して肛門腺という腺に感染し、炎症を起こします。
炎症が周囲に広がり、化膿した状態を肛門周囲膿瘍(のうよう)といいます。
肛門の周囲が腫れて激しく痛み、38〜39度の高熱が出ます。
膿(うみ)を出してしまえば痛みや腫れは治まりますが、膿の管ができてしまうことがあります。これが痔瘻です。
一度、痔瘻ができてしまうと自然に管がなくなることはなく、細菌感染するたびに再発を繰り返すようになります。
膿の管がどの方向に向かっているかによって、いくつかのタイプに分けられ、手術が必要になるケースもあります。