咽頭とは喉頭とともに一般にのどと言われている器官です。
咽頭は、鼻の奥から口腔、食道までつながっていて、空気の通り道の気道と、食べ物の通り道の消化管の一部を成しています。
咽頭は全長が12cmくらいで、鼻の奥の上咽頭、扁桃腺の周囲の中咽頭、食道の手前までの下咽頭の3つの部分に分けられます。
咽頭にできるがんを咽頭がんと総称しますが、上咽頭部にできる上咽頭がん、中咽頭部にできる中咽頭がん、下咽頭部にできる下咽頭がんによって、それぞれ症状や原因が若干ことなります。
【上咽頭がんの症状】
上咽頭がんは日本で1年間で発症人数が500人程度と、とてもまれな疾患です。
男女比では3:1で男性患者が多数です。
上咽頭がんはある程度進行すると、鼻症状と耳症状および脳神経症状が現れるようになります。
鼻症状には、鼻づまりや鼻汁に血液が混じったり、悪臭がある血性膿性鼻汁が出るといった症状があります。
継続して血が混じるところが、一時的な鼻血による出血とは違います。
耳症状は、がんが大きくなり耳管開口部が圧迫されて閉塞することにより、耳の詰まったような感じ、片側性の難聴、耳鳴りなどの症状が現れるようになります。
脳神経症状は、がんが大きくなり脳神経を圧迫したり、直接浸潤することによって、物が二重に見えたり(外転神経障害)、視力障害が起きたり(視神経障害)、三叉神経が侵されることによる疼痛といった症状が起こります。
また、上咽頭がんは早期に頸部リンパ節(首のリンパ節)に転移しやすく、転移するとリンパ節は腫脹します。
上咽頭がんは、このリンパの腫れによって発見されることが多いのが特徴です。
さらに、リンパ節だけでなく肺や骨や肝臓などに遠隔転移しやすい特徴があります。
【中咽頭がんの症状】
中咽頭がんは、日本で1年間で発症人数が1,000〜2,000人くらいで、まれな疾患です。
場所的には50%は扁桃腺に発症し、その周囲や舌根にも起こります。
中咽頭がんの初期には、食物を飲み込むときに異和感があったり、しみるなどの症状が出ます。
やがてのどの痛みや飲み込みにくさ、しゃべりにくさなどが少しずつ強くなり、さらに進行すると耐えられない痛み、出血、開口障害、嚥下障害、呼吸困難など生命に危険をおよぼす症状が出現してきます。
中咽頭がんも頸部リンパ節に転移しやすく、初期症状がリンパの腫脹だけの場合もあります。
【下咽頭がんの症状】
下咽頭がんは、男性に多く見られるがんで、女性の4〜5倍発生しています。
年齢は50〜60代が全体の6割を占めます。
ただし、下咽頭の輪状後部という場所にできるがんは、鉄欠乏性貧血の女性に多く発症するとのことです。
下咽頭がんの症状には、まず嚥下(食物を飲み込むこと)の時の異物感があります。
下咽頭は食物の通り道なので、内腔に腫瘍が突き出してくるとひっかかる感じや飲み込みづらさを感じます。
潰瘍型の腫瘍では焼け付くような痛みを感じることがあります。
また、がんが進行してくると、下咽頭と耳をつなぐ神経を侵すので、嚥下時に耳の奥に鋭い痛みを感じるなど中耳炎のような症状が起こります。
がんが喉頭に浸潤したり、声帯を動かす神経(反回神経)を侵すと、風邪でもないのに声がれを起こすようになります。
また、下咽頭がんも頸部のリンパ節にすぐに転移しやすく、転移するとリンパ節が腫脹します。
60%の人が、初診時にすでにリンパ節に転移しているとのこと。
さらに、下咽頭がんが発見された患者の25〜30%に食道がんも見つかっていて、頸部食道がんと呼ばれることもあります。
咽頭がんは、どれも早期に頸部リンパ節に転移しやすいという性質があり、リンパ節の腫れによって発見されることが非常に多いがんです。
したがって、上に挙げた症状とともに、頸部のリンパ節に腫れを見つけたら、耳鼻咽喉科に行き診断・検査を受けることが重要です。