動脈硬化(アテローム硬化)は、動脈の内壁を覆っている内皮細胞が傷付くことがきっかけで起こると言われています。
なぜ傷が付くかにはいくつか説があり、血液中の悪玉のコレステロールが過剰になると、酸化されたコレステロールが血管の内壁に付着して炎症を起こすためという説や、一酸化炭素やホモシステインなどの毒性物質が血中に増えて内皮細胞を損傷するという説や、免疫システムに異常が起こり内皮細胞を攻撃してしまうという説などがあります。
また、動脈硬化を促進する危険因子には様々な要素があり、加齢や男性であることなども危険因子と言えますが、生活習慣に起因するものが多く、したがって生活習慣を改善することで予防できる場合が多いです。
また、危険因子がいくつも重なる場合は、動脈硬化の進行が早まり、動脈硬化が引き金となる重篤な疾患の発症リスクも高くなります。
中でも、「高脂血症」「高血圧」「喫煙」は、三大危険因子と呼ばれます。
【高脂血症(脂質異常症)】
脂質異常症は、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪の量が正常よりも多くなったり、善玉コレステロールが正常よりも少ない状態のことです。
コレステロールは、血液中ではたんぱく質と結びついてリポたんぱくとなって血液中を流れますが、リポたんぱくにはHDL(善玉コレステロール)とLDL(悪玉コレステロール)があり、LDLにはコレステロールを全身に運び、HDLには逆に余ったコレステロールを肝臓に戻す働きがあります。
そのため、LDLが多すぎたりHDLが少なすぎたりすると、血液中のコレステロール量が増加して動脈硬化を促進します。
脂質異常症の診断基準は次のように定められています。
HDLコレステロール値: 40mg/dl未満
LDLコレステロール値 : 140mg/dl以上
中性脂肪(トリグリセライド)値(男): 150mg/dl以上
【高血圧】
血圧は、血液が血管内を流れるときに血管壁にかかる圧力のことです。
血圧が高い状態が続くと、血管の内壁がもろくなり、動脈硬化が起こりやすくなります。
また、動脈硬化のため血管の弾力性が低下したり、血管の内腔が狭くなると、心臓は体内の隅々にまで血液を送り出そうとポンプの力を強めるので、血圧が上がります。
つまり、高血圧と動脈硬化はお互いに危険因子となって血管の老化を促進していくのです。
血圧が、「収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上」の場合、高血圧と判断されます。
血圧は高いほど動脈硬化を促進し、脳卒中や虚血性心疾患のリスクも高まります。
動脈硬化のほかに、肥満や塩分の摂り過ぎなどが高血圧の危険因子です。
【喫煙】
喫煙をすると、血液中の一酸化炭素の濃度が高くなり、血管壁を損傷しやすくなります。
また、喫煙を続けると悪玉コレステロール(LDL)が増加し、逆に善玉コレステロール(HDL)値が下がることが知られています。
さらに、喫煙をすると血管が収縮されるので高血圧の原因となったり、血液の粘性を高め(ドロドロ血になる)、血栓ができやすくなるなどの悪影響を与えます。
なお、本人の喫煙だけでなく、他人の吸っているタバコの煙による受動喫煙の場合でも、喫煙者と同等のリスクがあると言われているので要注意です。
【糖尿病】
糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度が、インスリンの働きの低下などにより慢性的に正常よりも高い状態となる病気です。
血糖値が高い状態でいると、血管がもろくなり動脈硬化の原因となります。
また、糖尿病は高血圧や高脂血症などを合併しやすく、さらにリスクを高めます。
【肥満】
特に内臓脂肪型の肥満は、高血圧や高脂血症や糖尿病などを合併しやすく、これらが重なった状態をメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と呼びます。
メタボリックシンドロームの人は、たいてい動脈硬化を進行しており、脳卒中や虚血性心疾患のハイリスクグループとなります。
【痛風(高尿酸血症)】
痛風は、血液中に尿酸という代謝産物が増加することによって起こります。
尿酸が増えると、血管壁を傷つけて動脈硬化を引き起こすこともあり、また高尿酸血症になると高脂血症を合併しやすくなります。
【ストレス】
ストレスを感じると、交感神経が活発になり血管が収縮するので血圧が上がります。
また、血液中に活性酸素が増えるので、血管が傷付きやすくなります。
さらに、慢性的にストレスにさらされると、過食や過飲などにつながり、肥満やその他の生活習慣病の原因にもなります。